記録

日々の生活、ハワイ挙式、旅行、映画の感想など

パプリカの感想(ネタバレ有)

パプリカというアニメ映画を観ました。
先日観たインセプションに影響を与えたというレビューを見かけたのでちょうどいいかなと。
雰囲気でめっちゃ楽しめました。ネタバレ有で感想を書きます。


あらすじ
他人と夢を共有できるハイテク機器「DCミニ」にまつわるお話。
DCミニは精神医療のために開発されたものだが、悪用しようとする奴もいる。
ある女性セラピストがDCミニを使って他人の夢へ入り込むときに少女に変身するのだが、その少女の名前がパプリカ。

ものすごい天才だけど心は子供のまま無邪気にDCミニを開発してしまう人がいて、
それを悪用しようとする金持ちがいて、DCミニとそれによる人類の希望を守ろうとする人がいて、
うっかり巻き込まれてしまう一般人がいて。
なんやかんやワチャワチャしていたら渦中の男女がくっついて。寸でのところで人類は守られて。
よくある設定、展開かなと思います。
でも舞台の大半は夢の中なので、もうほんとうにワチャワチャしてました。文字通り。
このワチャワチャが癖になります。
音楽は平沢進だそうで…聞いたことある名前だと思ったらベルセルクか。

物語はDCミニを開発した研究所内の人間たちが中心ですが、粉川警部という人も関わってきます。
彼は自身の精神不安の解決のためDCミニでの治療を受けていて、夢の中で治療してくれるパプリカに惚れています。
(DCミニはまだ開発途中で治療も認められていないのですが、研究所所長と友達なのでこっそり受けている)
粉川警部のトラウマ克服のシーンがとっても好きです。
ネタバレですが…
彼は学生時代に映画監督になることを夢見て、友人と一緒に刑事ものの映画を撮影します。
粉川が刑事役、友人が犯人役で、粉川が友人を追いかけて走り続けるだけの映画。
しかし粉川は友人との才能を比較して悲観的になり、映画の製作途中で投げ出してしまいます。
友人からは責められ、喧嘩別れ。粉川は警察官になり、友人は映画の道に進みます。
そのまま仲直りすることもなく、友人は亡くなってしまいます。
粉川は友人との夢を投げ出して警察の道を選んだことがトラウマとなっているのですが、本人はトラウマの原因に気付いておらず、パプリカの治療を受けています。
パプリカと一緒に見る夢の中に例の友人が出てきたり、パプリカのピンチを救ったりすることで彼はトラウマと向き合っていきます。
そしてラストで、友人の幻影が彼に「嘘から出たまことじゃないか。大事にしろよ」と声を掛けます。
これは嘘=映画の役の通り、警察官になり犯人を追っている彼の姿=まことを友人も肯定している(と粉川自身が思えるようになった)ので、粉川は無事にトラウマを克服したことになります。
粉川は「嘘もまこともな」と返事。
自主製作映画で犯人役の友人の背中をいつまでも追っていたので、現実でも才能ある友人の背中を追い続けるだけだった自分、その劣等感も受け入れられるようになったってことなのかなとも思ったり。
トラウマのせいで映画そのものが嫌いになっていたのですが、久しぶりに映画館へ行く粉川の姿も描かれます。
映画監督になりたかった自分も、その道を選ばなかった自分も、映画好きな自分も、警察官としても自分も、すべて受け入れて大事にしようというストーリーがとても素敵だなと思いました。

粉川と同様に、女性セラピスト(パプリカの現実版)の心の成長も描かれるのですが、私は粉川の話のほうがぐっときました。
中年おっさんの成長っていいですね。